「源氏物語を束ねる」~紫の上と明石の君~

源氏物語について

『源氏物語』とは、平安時代に紫式部によって書かれた、平安文学を代表する長編小説です。

主人公:光源氏と多くの女性たちの恋模様を中心に描きながらも、政治的な権力争いや宮中に住まう人々の煌びやかな描写など、当時の貴族たちの生活を想像できる様々な要素が事細かに盛り込まれています。

紫の上と明石の君

【紫の上】

紫の上は、幼い頃に光源氏が養子として引き取り育てるも、後に正妻となる女性です。

源氏は生涯を通じて様々な女性と交流があったため、紫の上も時には不安な時間を過ごすことがありましたが、最期まで源氏最愛の女性という地位が揺らぐことはありませんでした。

《イメージカラー》

●葡萄染(えびぞめ)

山葡萄の実が熟したような、赤みがかった紫色。

日本古来の大変貴重な染料である「紫根」を用いて染められる色で、身分の高い貴族しか身に着けることができなかったとされます。

●今様色(いまよういろ)

今様とは、「流行」という意味。当時の流行色は紅花を贅沢に使って染めた、輝くような赤色と言われています。


【明石の君】

明石の君は、源氏が政治的に失脚し、須磨(今の兵庫県神戸市あたり)に左遷された先で出会う女性です。

源氏との間に姫君を産み、この姫君が後に皇后になることから、明石の君は源氏一族の繁栄を確固たるものにした女性であるともいえます。

《イメージカラー》

●白

明石の君は、物語全体を通して「白」を印象的に取り入れた衣装を多く身に着けています。

六条院完成後は冬の対に住むこととなり、「冬の御方」と呼ばれるようになる明石の君のイメージカラーとも呼べるでしょう。

●蘇芳色(すおういろ)

暗めの赤紫色。舶来の蘇芳という植物の木を染料として用います。

蘇芳色それ自体として愛用されたほか、紫根で染める紫色の代用品としても重宝されました。

紫の上と明石の君の関係性

源氏の左遷先である須磨の地で新たに恋人となった、明石の君という女性に対する嫉妬の思いが紫の上に募ります。

源氏と明石の君の間には姫君が生まれ、源氏はこの姫君を東宮に入内させたいと考えますが、実母である明石の君の身分は低かったため、源氏は都で帰りを待つ紫の上を養母とすることにしました。

紫の上は、最初明石の君への嫉妬心が強かったものの、子ども好きであったことから姫君の養育を快く引き受けます。

数年後、姫君が東宮の女御として入内し、源氏一族は最盛期を迎えました。源氏は六条院という大きな屋敷を建て、そこに恋人たちを住まわせます。

その後初めて対面した紫の上と明石の君は、源氏が惚れ込むに相応しい器量と教養を備えた素晴らしい女性だと、お互いを認め合いました。二人は源氏をめぐる恋敵でありながら、立場や身分は違えど同じように明石の姫君を慈しみ育てる母でもある、不思議な絆で結び付いていきます。

いけばなのテーマ

今回テーマとしたのは、「玉鬘」巻の一場面における紫の上と明石の君の衣装です。

この場面は「衣配り(きぬくばり)」と呼ばれ、新年を迎え、源氏が自らの見立てで六条院の女性たちそれぞれに似合う衣装を贈るというものです。

源氏本人が選ぶ衣装の色や柄、使用する染料の品質などは、源氏から見た女性たちの美しさ、愛情の深さなどの差を浮き彫りにするため、少し残酷でもあると同時に、複雑に絡み合う人間関係の面白さが表れる場面でもあります。

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